その日も彼女は海に向かっていました。毎朝毎朝彼女は海にむかっていました。そして見事なサーフィンを僕に見せてくれていました。
もちろん彼女は僕に見せるためにサーフィンをしていたわけではありませんが・・・。僕が毎朝彼女が海でサーフィンをしているのに
気付いたのは高校を卒業して就職してからでした。僕は実家から会社に通うことになりましたが、その会社は少し遠くにあったため、早めに
家を出て毎日車で会社に向かっていました。会社の初出勤の日、初めて僕は彼女が砂浜でサーフボードを持っている姿をみました。
僕はその日、おじいちゃんがやっているボードショップのことを思い出して、今度久しぶりに顔を出してみようと思いました。次の日
また会社に向かう途中また彼女がいました。次の日もまた次の日も・・・。天候が悪い日以外は毎日のように彼女をみかけました。そして
ある休みの日僕は朝早くに車を出しました。そう・・・。彼女を見るためです。いつもの海に車を走らせるとやはりいました。そして僕は
車から彼女の波乗りをしばらく眺めていました。それからしばらくして彼女がこちらに近づいて来ました。ちょうど僕のとなりに車が止まって
いたので、これが彼女の車だということに気がついたのは、彼女がすぐ目の前に迫ってからでした。彼女が僕のほうに軽く会釈をしたのを
見て、僕は慌てて窓ガラスを下げて彼女に話しかけました。これが僕と彼女の初めての会話でした・・・。